感光乳剤

(1)感光乳剤の化学

 写真製版に使われている感光乳剤について、公開されている資料が少なく、正確な内容はわかりません。

 

 水溶性樹脂であるポパールを、UVで架橋させ、水不溶性樹脂にします。架橋剤には、ジアゾ系と SBQ 系があります。

 代表的なジアゾ樹脂は、p-ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物です。千葉大学の先生が書かれた日本写真学会誌の報文から引用します。

 

 SBQ はスチルバゾリウム(スチリルピリジニウム)の略語です。架橋反応を、東邦大と(株)ムラカミの報告から引用します。

 ジアゾ感光乳剤は、複数の反応基を持った架橋剤で緻密な3次元構造の樹脂を形成します。一方、SBQ 感光乳剤は、PVA に架橋基を導入させた変性高分子の架橋反応で樹脂化させていますので、架橋密度が低く耐水性が劣ると考えられます。

 ジアゾ感光乳剤は、耐水性がよく水性糊のプリントに適していますが、乳剤のポットライフが短いのが欠点です。1Kg 購入すれば割安ですが、長く保存できなく無駄にすることもありえます。一方、SBQ 系の乳剤は、耐水性は劣りますがポットライフが長いと言われています。

 それぞれの超短所を生かした使い方を考えていくと良いでしょう。

(2)ジアゾ系感光乳剤のポットライフ

 感光剤添加後どのぐらい保管できるか、調べてみました。

 スクリーン印刷の資材・機械を販売している商社を経営しているたか坊さんのブログによれば、

 

「このタイプの感光乳剤は主剤だけでも感光する性質を持っています。但し、スクリーンの状態によって、十分な接着強度が保てない場合がある為に、補強的な意味で感光粉末を追加しています。

 感光粉末を混合しなければいつまでも大丈夫という事はありません。ほとんどの感光乳剤は上記のような混合タイプです。」

 

 製造メーカーのインフォメーションによれば、感光剤添加後、冷暗所に保存した場合のポットライフは

 SD-40(栗田化学研究所)ーー>1ヶ月

 NEW M コート D(ミノグループ)ーー>長期間の保存ができます

 ジアゾ感光乳剤 EX(新日本造形)ーー>造ハウ.com のサイトには「長期保存することはできません」とあります。

 ジアゾ感光乳剤 EX について、造ハウ.com に問い合わせ、回答をいただきました。

「感光剤添加後、冷暗所に保存した場合の保管期間は、1週間から1ヶ月程度となります。(※保管状況により期間は異なります。)

感光剤添加前であれば、冷暗所に保存した場合、保管状況によっては、半年から長期間の保管も可能ですが、なるべくお早めにご使用頂くことをお勧め致します。」

また、「感光剤添加後の使用可、不可の判断と致しましては、色による判別が可能でございます。

感光剤添加直後の乳剤はカーキ色をしております。感光後は、乳剤が茶色を帯びてまいります。

保管後、乳剤が茶色を帯びております場合は、ご使用をいただけません。」

というアドヴァイスもいただきました。

 

 私が実際に使ってみた感じでは、感光剤添加後1ヶ月半程度と思います。乳剤の色を見て茶味を帯びてきたら使わない方が良いと判断しています。

 感光剤添加前でも冷蔵庫に保管し、感光剤添加後はアルミ箔に包んで遮光性を上げています(比較試験していないので効果未確認ですが)