親和性と反応速度

(1)親和性

 反応染料には親和性の強いものと弱いものがあります。前者は浸染に、後者は捺染に使われます。

 

 浸染は大きな浴比で染めます。1:20の浴比ぐらいです。一方、捺染の場合、捺染後乾燥します。1相法の場合、蒸します。2相法の場合、アルカリ剤を塗布します。浸染の浴比に相当する数値は極めて小さいです。1:1ぐらいのレベルではないでしょうか。

 

 浸染の大きな浴比から効率よく拡散・吸着させるには親和性が大きい方が有利です。さらに親和性を高める為、芒硝を添加します。

 

 捺染の1相法の場合、蒸し中に生地に凝集した水分で拡散しますが、凝集した水分だけでは拡散できないので、捺染の色糊に尿素を添加します。蒸し中に尿素の濃厚溶液中を染料が拡散すると考えられます。2相法では十分な水分がありますので尿素の添加は要りません。よって、捺染の固着工程では、強い親和性は必要ではありません。

 

 捺染は固着後水洗します。良好な堅牢度を得るために高温で水洗します。親和性が強いと水洗中に脱落した未固着染料が白場に汚染してきます。よって捺染では、白場汚染しない親和性の弱い染料を使用します。

 

 筆描き、引染めにも捺染用の染料を使います。

(2)反応速度

 染料を選択する場合、親和性とともに反応速度の揃った染料の組み合わせが重要です。

 

 捺染の場合、日本化薬の技術資料から引用します。

本サイトの、「反応染料→反応染料とは」で紹介した染料です。

 

Kayacion Yellow PN3R

Kayacion Red P4BN

Kayacion Blue PNFB

 

 浸染の場合、抜染できる染料から選択すると、

Remazol 染料では、

Remazol Yellow GR

Remazol Orange 3R、又は Remazol Red F3B

Remazol Blue BB(濃色:Remazol Black B)

 

Sumifix Supra 染料では、

Sumifix supra Yellow 3RF

Sumifix supra Red GF

Sumifix supra Blue BRF(濃色:Sumifix supra Navy BF)

山宗実業(株)から入手できます。

==閑話==

 親和性について、分かりやすく記述した邦文を紹介したいと思います。

木村:染色化学の基礎、化学と教育 36(6), 586, (1988)

 

ここに記述されていることを整理すると、

学生は単位を取得しなければという強制力がなければ教室に集まってこない。

同じように考えると、水に溶けた染料を、自由な水中から繊維の方に拡散していき吸着していく力は何なのか。

です。

この先は、熱力学の領域です。興味のある方はこの文献を読んでみてください。エントロピー、エンタルピーという言葉が出てきますが、染料が水中から繊維へ行く、行かされている、ようなニアンスが読み取れると思います。

 

さらに興味を持たれた方は、

高岸:染色(やさしい繊維基礎講座)、繊維と工業 58(11), 358, (2003)

今田:染色技術者のための染色化学、繊維機械学会誌 54(10), 413, (2001)  10回連載されています。

 

などの文献があります。